京都の建築家が教える注文住宅のツボPoint in the order housing @Kyoto
column38 緊急提言 住まいの補助を 2020.03.27
■経済政策は居場所の確保から
新型コロナウィルスの話題が深刻化しています。現在、厚生労働省の発表によると、国内感染の死者数は45人(3月26日公表)。
本年1月14日、一例目として神奈川県で中国武漢に滞在歴のある30代男性の新型コロナウィルス肺炎患者が報告されて、そろそろ2ヶ月。
事態は、 「爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないか。」 「感染者数は、当面、増加傾向が続くと予想される。また、すべての感染状況が見えているわけではないので、依然として警戒を緩めることはできない。」 との専門家会議の見解(3月9日)通りに推移しています。
とは言え、東京都の感染者数が日々増加し、関西でも自治体間の往来に自粛要請が出るなど、予断を許さない状況です。
時に平常心をなくしそうになりますが、新型コロナウィルス感染の特徴として
・高齢者・基礎疾患保有者における肺炎の合併症が生命を脅かす
・感染しても発症しない場合がある
・発症しても多くの場合は発熱や咳などの軽症
・感染しても80%の人は、他人に感染させない
と報告されていることから、高齢者ではなく、糖尿病や高血圧症、心臓病などの基礎疾患もない健康な成人は、
・自分で健康管理、体調が優れないときは体温測定
・人が多く集まる室内での集会等に参加しない
・密閉空間での密集環境かつ密接状態を、絶対に避ける
・会社、学校、自宅に着いたら、手洗いをしっかり行う
感染から身を守り、感染を無自覚に広めない、一人ひとりが「手を洗って、家にいること」を数週間続ければ、困難を克服する日が来ると信じます。データを見る限り100人の感染者のうち、人工呼吸器が必要になるほど重症化するのは6人ほど、25人は入院の必要もない軽症のようです。
しかしこの25人が無自覚に行動したら、それぞれの周囲に新たな感染者が発生しかねません。
潜伏期間中や無症状の感染者が、無自覚に感染を広めてしまうケースが増えているのです。
感染しても大半は軽症とはいえ、感染者の母数が増えると、重症化する感染者も比例して増えてしまいます。
重症患者が増えると、それでなくても忙しい病院は、新型コロナウィルス肺炎の検査や治療に忙殺されます。
増加した患者への対応で人材も、人工呼吸器などの機器も不足すると、影響は他の病気の治療にまで及び、医療崩壊が起こりかねません。
そのような事態を避けるため、世界では感染者の母数を増やさないための措置、人の往来をストップする都市封鎖が有力な対策となっています。
旅行はもちろん日々の買い物まで、人の往来をシャットダウンして、企業活動も教育現場もストップしています。
しかしこの方法は経済活動全てに大きな影響を与えるため、各国政府は巨額の経済対策を検討しています。
日本も同様で、その内容は買い物券の発行や現金給付など、落ち込む消費を喚起する方法が多いようです。
今回特に政府から要請はないのですが、わたしからも提案があります。
それは「数ヶ月間の住まいの保証」です。
肌感覚として、サービス業や製造業の非正規雇用や短期労働者、パート・アルバイトなど、経済活動の縮小に伴って現金収入が激減する人が増えています。
住む場所さえあれば、経済の回復を待つ余裕が生まれるのではないでしょうか。
目標は回復まで数ヶ月の時間稼ぎ、そのための居場所の確保です。
現金収入が途絶えた人が家賃支払いのめどが立たなくなって都市からいなくなると、回復後は労働力供給に支障をきたし悪影響をもたらします。
感染症は突発的な災害です。
数ヶ月で回復できるよう、なるべく社会の態様を変えないことが望ましいのです。
そのためには、今回の感染症流行が原因で現金収入が途絶えた人のうち、家賃や住宅ローンの負担を抱える人に数ヶ月程度の補助が出ること、そのような案が検討されることを願います。