京都の建築家が教える注文住宅のツボPoint in the order housing @Kyoto
column43 熱烈!断熱塾 第三種換気のアイデア 2020.04.24
■第三種換気で実現できるムラのない室温
高気密高断熱住宅を計画する際、もっとも注意する3つのポイントがあります。それは、
1 断熱 外壁・屋根天井・床の断熱材で、熱・冷気の出入を防ぐ
2 気密 開口部(窓や扉)や屋根天井・壁・隙間の、空気の出入を防ぐ
3 換気 室内温度を保持できる換気扇を採用する
人体にも建物にも欠かせない換気。
生活で発生する水分や汚れた空気を排出し、新鮮な空気を取り込み、室内環境を良好に保ちます。
換気扇の選択は、弊社では第1種換気と呼ばれる機械換気で、セントラル方式の熱交換型換気扇をお勧めしています。
セントラル方式の換気システムは断熱性能や防音効果に優れ、熱交換型は断熱効果に優れます。
外気温に左右されにくい高気密高断熱住宅においては、機械換気を使えば室温と空気の質の両方を維持することができます。
しかしこの方式は、広く普及している第3種換気に比べて、機械や工事のコストが上昇すると言われています。 また天井裏や壁の中に大きなダクトを取り付けるため、プランや面積によって室内を圧迫することもあります。
そんな時は空気の流れをよく考えた第3種換気が有効です。
日本の住宅で広く普及している第3種換気は、トイレや浴室の換気扇をつけっぱなしにすることで屋内を負圧に保ち、気圧の差で空気を屋内に流入させて、常時、換気を行います。
床付近に設けた給気口から新鮮な屋外の空気を取り込み、天井付近の排気口から汚れた空気を排出する。
室内の空気を新鮮に保ちながら、温度上昇も抑制する仕組みです。
簡潔にして合理的な仕組みですが、冬に関してはこの仕組みが逆効果になります。
冷たい空気を外から取り入れ、屋内を冷やしながら居室に入り、暖めた空気とともに外部に排気する。
冬は冷気が家の中をかけ巡る・・・この第3種換気の欠点は、実はちょっとした工夫で防ぐことができます。
第一は各部屋の換気扇を熱交換型にする。
暖房で暖めた暖気を室外に放出する割合を低減できます。
第二に部屋を区切る扉を引き戸にするなど工夫して、可能なかぎり換気計画を部屋ごとではなくフロアごとにプランします。
給気口と排気口の数を減らして、フロアの空気の流れをシンプルにします。
給気口の位置は人がいる場所から離して、冷気を感じにくくすることもできます。
またエアコンの近くに設置する工夫も有効です。 そうすることで、温度調整された空気が排気口のある各部屋に運ばれ、新鮮な空気と適温を運ぶ流れを作れます。
換気を、家の中に風上と風下を作る作業と考えたら、風上で適温を作り風下に届ける効果が期待できます。
家の中にそんな空気の流れを上手に作ることができれば、第三種換気でも屋内の温度ムラが少ない家を実現できます。
玄関に入ったら暖かい、トイレも脱衣室も暖かい。
空気の流れを考えた家を、ご自宅で実現しましょう。