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column46 熱烈!断熱塾 断熱気密性能の指標 2020.05.25
■設計評価のUa値、現場評価のC値
高気密高断熱住宅を計画する際、もっとも注意する3つのポイントがあります。それは、
1 断熱 外壁・屋根天井・床の断熱材で、熱・冷気の出入を防ぐ
2 気密 開口部(窓や扉)や屋根天井・壁・隙間の、空気の出入を防ぐ
3 換気 室内温度を保持できる換気扇を採用する
建物に出入りする空気を極力減らして、外気温が室温に与える影響を最小化する断熱と気密。
屋内の空気を新鮮に保つ換気。
この3つが同時に効果を発揮できれば、真夏も真冬も快適に住める、高気密高断熱住宅となります。
では建物の断熱気密性能は、どのように評価するのでしょうか。
以前のコラムでもご紹介したように、窓の気密性は熱貫流率で評価できます。
窓を含む、建物全体の断熱性能を評価する指標は、Q値やUa値と呼ばれます。
今や、断熱化住宅を設計する際に避けては通れない数値です。
いずれも「熱損失係数」という熱の逃げやすさを表す指標なので、
「数値が低い方が、建物の断熱性能は高い」
ことになります。
最近は各種申請においても、計算の仕方が煩雑なQ値より、比較的求めやすいUa値(外皮平均熱貫流率)が多用されています。
「外皮平均熱貫流率」とは、建物から熱が失われる熱損失量を、床面積や外皮(外気に接する建物の表面)の面積で割った数字で、計算には専用のソフトを使います。
Q値もUa値も、図面上の性能を表します。
計画段階での数値なので、施工精度によっては予定通りの性能を得られない可能性もゼロではありません。
そこで建物の性能は、工事中の現場で計測するC値で評価します。
建築物の断熱気密性能が現場の施工能力と比例しやすいことは、容易にイメージできると思います。
最高性能の断熱サッシを取り付けたけど、窓と壁の間に、目に見える隙間があった。
吹き付け断熱で隙間のない壁を作ったけど、後から配線や配管の穴をいっぱい開けられてしまった。
となると、高性能に計画した断熱気密住宅も、机上の空論になりかねないのです。
そこで施工スタッフには気密検査の日程を周知して、より丁寧な施工を促します。
現場は工事の成果が数字で現れるため、一層のやりがいを感じるようです。
具体的な手順としては、木工事の途中で断熱材の取り付けや吹き付けが完了し、アルミサッシがすべて入った状態で、気密検査を行います。
工事期間中に検査日を設定し、現場に専門スタッフが入って計測します。
その建物の現実の気密性能の目安になるのが、こうして得られるC値の値です。
測定で、家全体のおおよそのすき間面積がわかります。
すき間を作らないように工事するのにどうしてすき間があるのかといえば、人間が作る限り、物体と物体の間がスキマゼロの真空状態にはなり得ないからです。
その目に見えないほどの隙間を隅々まですべて寄せ集めたら、家全体でこのくらいの面積になります、という数字が測定器で示されます。
検査員がスケール片手に建物を歩き回ってすき間を見つけては測っていく・・・わけではなくて、空気の出入りで計測します。
例えば、家全体の隙間面積が10㎝×20㎝(200㎠)、延床面積が100㎡とすると、C値は200/100=2.0(㎠/㎡)となります。
弊社物件での実績は、C値の平均で0.65㎠/㎡程度。
延床面積100㎡の住宅に当てはめると、隙間の総面積は65㎠/㎡、約8㎝×8㎝の隙間となります。
高気密高断熱住宅は、設計段階で高性能な窓や扉、断熱材を採用することが重要ですが、施工の丁寧さも重要です。
そしてこのように建物が高気密化するほど、室内での空気の汚れを速やかに排出して新鮮な空気を取り入れる、換気の重要性も同時に高まります。