京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto

column130 家づくりの転換期〜省エネ性能はアップするしかない〜 2026.01.27

空も海も暑い

改めて言うまでもないことですが、日本の平均気温が上がってます。
最高気温30度以上の真夏日、35度以上の猛暑日、熱帯夜の増加(グラフ1)。
上がっているのは気温だけではありません。

日本は国土の360度を海で囲まれる海洋国ですが、その海面水温が上がってます。
海面水温には10年規模の変動が見られることが知られていますが、日本海周辺ではこの100年で季節平均2度以上の上昇が見られます(図1)。
温度上昇は海上より陸での上昇率が大きくなることから、大陸に近い日本海が影響を受けやすいと考えられます。
風や海流の影響もあり、日本を囲む全ての海域で、海面水温が上昇しています。

大気温が上昇し、海面水温も上昇する。
逃げ場のない暑さが、日本列島全体を覆うようです。
地球の平均気温を下げる努力は世界中のあらゆるレベルで行われていますが、効果が現れるまでには時間が必要です。
今年もやってくる暑さを乗り切るために、住宅の質を上げることが喫緊の課題です。

断熱と気密で室内環境を守る

暑さも寒さも、空気の移動とともに屋外から室内に侵入します(図2)。
外部の温度変化から家の中を守るために、外皮の断熱化と気密化が欠かせません。

外皮とは、家の外側を構成する屋根・壁・窓・床全てを指します。
屋根・壁・床の断熱性能、そして窓の気密性能を高める。
高気密高断熱の家で、家族の生活を気候変動から守る時代です。

断熱・気密の指標

温度変化に影響されない家は、一年を通して快適な家。
冷暖房費を抑えることができるため、省エネ性能の優れた家になります。
2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量を実質ゼロにする)を国際公約した日本政府は、省庁の壁を超えて高気密高断熱の省エネ住宅を推進中です。

そこで重視されるのが住宅の断熱・気密性能を表す指標です。
乱立していた指標を、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級に統一。
わかりやすい目標設定で新築住宅市場に、多様な補助金で住宅リフォーム市場で、普及を図ります。

目指すべき等級とは?

では示された指標=等級の、どの辺りが正解か?
国土交通省・経済産業省・環境省の合同チームが策定したロードマップには、2050年には既存住宅の平均で「ZEHレベル&BEI<0.8」を達成する、と記されています(表1)。
等級でいうと、「断熱等性能等級6、一次エネルギー消費量等級はBEI<0.8」。
弊社物件では「はなあふ家」のレベルで、実際に「暑い・寒い」を超越した、全館空調の家です。
エアコン・換気扇の性能はもとより、給湯はエコキュート、照明器具は全てLEDで、エネルギー支出を極力抑える機器を設置。
断熱性能は現場吹き付けの発泡性充填断熱と柱の外から断熱材を巻くダブルバリア、窓はトリプルガラスの樹脂サッシで気密性能を高めました。

気温35度超えの日に「今日は暑い?」と聞かれて、驚愕したことを思い出します。
このレベルが標準化したら、かつてはウサギ小屋と揶揄された日本の住宅が、世界をリードする高品質住宅になることは間違いありません。
既存住宅が多く省エネ化が進みにくい住宅分野が変化したら、2050年カーボンニュートラルも夢ではないのです。

現在地は?

2050年にストック(既存住宅)平均で等級6が目標ですが、現状は等級5と6を合わせても、住宅ストックに占める割合は5%前後(グラフ2)。
現状、ストックの80%以上はほぼ無断熱に近い等級3以下です。
耐震性能は現行基準未満が60%超でしたが、省エネは基準未満が95%。
残り25年、伸び代はたっぷりあるようです。

ロードマップには「遅くとも2030年に〜」と記されていますが、2030年まで待たずに、今年2026年を家の常識をアップデートする年にしましょう。
住宅の品質を上げることは生活の質を上げて、家族の健康を守ること。
そして地球の未来にも貢献しましょう。

グラフ1、図1:気象庁サイトより転載、作成

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、アーキシップス京都の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。

グラフ1 日本の平均気温推移
図1 日本近海の全海域平均海面水温(年平均)
図2 暑さも寒さも外から室内に侵入する
表1 普及すべき省エネ基準
はなあふ家 断熱等性能等級6/BEI<0.6
グラフ2 住宅ストックに占める断熱等級の割合
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