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column115 令和6年1月1日能登半島地震 2024.01.11

能登半島の地震活動は2020年から活発化

2024(令和6)年16 時 10 分、石川県珠洲市を震源とする地震が発生しました。
最大震度は石川県志賀町で7、輪島市や珠洲市で震度6強、能登町や新潟県長岡市で震度6弱、金沢市や新潟・富山県の一部でも震度5を観測しました。

この地域は、2020年ごろから地震活動が活発化しているとの報告がありました。
昨年の5月5日にも、最大震度6強の地震で全壊(15棟)や半壊(13棟)を含む630棟余りの住宅に被害が出たばかりでした。
この時は住宅倒壊など建物の被害は発生しましたが、交通インフラの被害はほとんどなかったようです。

現在、県内の交通は道路・鉄道・空路・海路いずれも寸断が続きますが、自衛隊や地方自治体の応援も入り、復旧作業が進められています。
余震が続き地震被害の全容把握も困難な状況ですが、観測衛星の解析により、地震時の地殻変動の概要が判明しています。

隆起4m、移動1m

国土地理院の衛星「だいち2号」の観測データ解析で、
「輪島市西部で最大約4m(暫定値)の隆起、最大約1m(暫定値)の西向きの変動がみられる」
との報告がありました(2024.01.04.国土交通省国土地理院HP「だいち2号の解析結果」より転載)。
地面が垂直方向に4m隆起し、水平方向に1mずれたら、どのような都市もインフラも損壊は免れません。

昨年5月5日の地震では、震度こそ今回と近い最大震度6強でしたが、「だいち2号」による観測で隆起は20cm、ずれは西方向に10cmと判明しています。
600棟以上の被害を出した昨年のケースでも、地殻変動のスケールは、今回とは桁違いに小さかったことになります。

先日、フランスの人工衛星の解析で、今回地震では5000棟近い建築物に被害が出ている、とNHKの報道が伝えられました。
建物被害の悉皆調査が本格的に始まるのはインフラ復旧以降になりそうですが、今回地震の被害が昨年を大幅に上回ることが予想されます。

2000年基準なら

1月10日には被災地に入った専門家の調査で、損壊した建物の多くが「2000年基準」以前の建物であったとのNHKの報道もありました。
昨年5月地震の被災木造住宅の調査報告書でも、損壊した建物の多くが2000年基準以前、もしくは1981年改正の「新耐震基準」以前の建物であったとされます。
高齢化率の高い被災地で、耐震改修を推進することの困難が推察されます。

ご自宅の地震被災を最小限にするためにできることはあります。
特別なことではありません。
築23年以内、耐震「2000年基準」を満たした木造住宅なら、建物の心配より家具の配置や非常時の備えに目を向けましょう。
1981(昭和56)年以降2000年以前の建物なら、耐震診断をお勧めします。
引き渡し時の図面が残っていれば、短時間でアドバイスをもらえます。

1981(昭和56)年以前の建築なら、耐震診断を強くお勧めします。
問題がなければ安心できるし、問題が見つかれば解決へのスタートになります。
早速、家族と財産を守る行動に移りましょう。

→column116 地震と地震保険 2024.0125

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、アーキシップス京都の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。

令和6年1月1日能登半島地震震度 防災クロスビューより転載
だいち2号の解析による地殻変動 資料:国土地理院
だいち2号の解析による地殻変動 資料:国土地理院
令和5年5月5日の地震「だいち2号」解析 資料:国土地理院
耐震基準の変遷 木耐協サイトより転載
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