京都の建築家が教える注文住宅のツボPoint in the order housing @Kyoto
column116 地震と地震保険 2024.01.25
地震保険の鑑定が進行中
1月1日の能登半島地震から三週間が過ぎました。道路事情の改善とともに情報量が増え、被災地の現状に心が痛む毎日です。
被災地では行政や民間支援団体など、様々な支援が展開しています。
その一つに地震保険の査定があり、日本中の損害保険会社の社員と応援スタッフが現地に入り、査定を行っています。
地震保険とは
身近であるにも関わらず内容を説明しにくい代表が、保険です。なんとなく、入院保険は病気や手術で入院した時に、火災保険は家が火事になった時に保険金が降りる、そんな認識があります。
では地震保険は?
地震で家が壊れたり住めなくなったり、大事な家宝を失ったら、修理・建て替え費用や損害補償が支払われる。
名前から、そんな期待を抱きます。
実は地震保険は、地震が原因で壊れた家や家財(=財産的損失)の補填を目的とした保険ではありません。
地震保険の目的は、保険契約者の当面の生活の安定に寄与すること。
少しでも早く保険金を手元に届けて、暮らしの一助になるように。
素早い査定を目指し、主に外観から確認して4区分にランク分け。
当面の生活が安定するよう保険金を支払う制度ですから、時間のかかる詳細な原因調査や見積金額の査定、厳しいやり取りもありません。
非常時に経済的な不安はつきものですが、手元資金に余裕があれば、安心のよりどころになる。
そんな目的の保険です。
では、地震で失った家や家財は、どんな制度が補償や補填してくれるのでしょう。
残念ながら、現在、そのような制度はありません。
だから住宅の耐震化が重要なのですが、それは別稿に回します。
火災保険とセットの保険
住宅の保険といえば、住宅ローンを組む際に必ず加入する火災保険です。名前の通り、火災など定められた事故で、対象に生じた損害を補填します。
その対象は住宅の建物と家財道具、店舗併用住宅なら機器や商品も。
火災はもとより落雷や風災、盗難など、様々な事故をカバーします。
ところが地震が原因の火災は、火災保険の対象にはなりません。
地震が原因の近隣からのもらい火でも、同様です。
この場合に有効なのが地震保険で、地震保険に加入していれば消失面積に応じた保険金が支払われます。
地震保険は単独での販売はなく、火災保険に付保する保険です。
加入の有無は、火災保険証書でご確認ください。
始まりは1964年の新潟地震
現在、損害保険と名のつく保険会社はいくつもあり、火災保険を含む損害保険商品にも違いがあります。しかし、地震保険は各社一律です。
もともと、一度発災すると被害の程度も範囲も規模も予測ができない大地震については、保険商品化することは不可能と言われてきました。
しかし1960年代、新潟県選出の大蔵大臣田中角栄が、1964年の新潟地震を契機に地震保険制度を模索。
国が再保険を引き受けることで損害保険会社と合意して、地震保険創設の法案が成立した経緯があるそうです。
災害報道に目を奪われますが、地震保険について考える機会にもなります。
同時に、住宅の安全性にも関心が向かいます。