京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto
column118 令和の時代の家づくり 最新:家づくりのコスト 2024.11.18
「住宅市場動向調査」令和5年のデータから
本年8月、国土交通省「令和5年住宅市場動向調査」が発表されました。住宅建築や分譲住宅・マンションの購入、リフォーム等で家を住み替えた世帯を対象に、毎年行われている調査です。
・どのような理由でその住宅を選択したか?
・必要な資金はいくらか、どのように調達したか?
などなど「直近経験者に聞く家づくりの実際」が詰まった、大変興味深い資料です。
調査結果から、主に三大都市圏の注文住宅に注目して見て行きます。
注文住宅は、コストアップが止まらない
まず気になる住宅取得のコストから。2023(令和5)年に調査・回収・集計された結果なので、反映されるのは前年2022(令和4)年の実績です。
土地購入を含めた注文住宅購入資金の総額は、全国平均で5,811万円、三大都市圏では6,989万円でした(グラフ1)。
分譲住宅は4,290万円、分譲マンションは4,716万円、中古住宅・マンションなら3,000万円前後なので、土地購入を含む注文住宅のコスト高が目を引きます。
都市部で土地購入+注文住宅建築 = 家づくりコスト平均7,000万円。
衝撃ですが、ずっとこんなに高額だったのでしょうか。
グラフ2は2013年から2023年の、取得住宅別の金額の推移です。
2018年頃までは分譲マンションとあまり変わらなかった購入費が、2019年以降、注文住宅の金額だけが跳ね上がっていることがわかります。
コロナ前から始まっていた上昇基調が、コロナ渦中の輸入品の高騰やその後の歴史的円安・物価高で、決定的な差となったようです。
坪単価はとっくに100万円超え
購入費の高騰は、建築費の目安である坪単価の上昇も招きます。グラフ3は2013年以降の坪単価の推移で、全国では2022年から、三大都市圏は2021年から100万円を超えています。
直近では三大都市圏の坪単価で126.4万円、近畿圏では138万円でした。
2年前の三大都市圏の実績で、注文住宅建築の坪単価は130万円前後。
注文住宅を希望する世帯には、大変な時代です。
元データをよく見ると、この購入費のスコアには初めて家を建てる一次取得世帯と、2回目以降の二次取得世帯が混在します。
グラフ4で取得回数別に購入資金を比較しました。
比較的若い世代の一次取得層とリタイア前後世代の二次取得層では、どの住宅取得も、二次取得層の方が予算規模が大きいことがわかります。
とは言え、一次取得世帯でも注文住宅のコスト総額は5,527万円。
前述の通り、この数字は2年前の数字です。
工事見積の実感からは、住宅建築費の高騰は今も続いています。
グラフ:国土交通省「令和5年住宅市場動向調査」から作成