京都の建築家が教える注文住宅のツボPoint in the order housing @Kyoto
column51 照明設計のいろは 明るい部屋が好き? 2020.07.03
光の制御でより快適な時間を
照明設計を考えるとき、明るさを必要とする場所から始めます。台所や洗面台など動作が明確な場所は、目的に応じた明るさを確保します。
JISの照明基準では台所や洗面は300lx、居間は50lxが目安とされています。
寝室の読書灯は必要か、パウダーコーナーの明るさは?
など、照明の必要性や範囲はライフスタイルによって違うので、いずれも依頼者との打ち合わせで決定します。
また住宅では用途のある照明以外に、環境を整える照明もあります。
明るさや光の質が空間の意味や気分を表現する意味でも、ベーシックライトもしっかり検討します。
ところで、明るさの好みは人によって違います。
AとB の2枚の3D画像は、床面や食卓の天板面は全く同じ明るさ、照度です。
天板面の明るさは同じなので、机の上で本を読む時の文字の見え方は同じ。
でも部屋の印象なら、Aの方が明るく感じませんか。
違いは壁を照らす光の量。
目線高さの明るさが違うと、部屋の印象は変わります。
明るい部屋が好きか、暗い部屋が好きか。
照明計画を考える時は、そこで生活する人の明るさの許容傾向も考慮します。
また同じ人でも、体調や時間、場面によって、光に対する感じ方は変わります。
食事や団欒の時間には、明るい方が好ましいかもしれません。
おやすみ前のひと時なら、低い照度が落ち付くかも。
レストランやバーでは照度を低めに抑えて、高級感やくつろぎ感、非日常な雰囲気を演出することがよくあります。
家の中でも調光器を使えば、シーンや気分に合わせて光をコントロールできます。
蛍光灯以外の白熱ランプやハロゲンランプならほとんどの機種で、ゼロから100%までの調光が可能です。
近年主流のLEDの照明器具にも、専用の調光器があります。
また最近のLED照明には、これまで考えられなかった機能が搭載されています。
それは光の色のコントロールです。
朝の明るい陽光と夕方では光の色を示す色温度が違いますが、その調整ができるようになりました。
早い時間には朝の陽光を思わせる白い光で、活動的な気分の演出を。
遅い時間には沈む太陽を思わせる赤い光で、リラックスから休息への気分を。
明るさや色の設定ができて、時間と色温度、照度を記憶する、そんな優れたコントローラーもあり、毎日同じ調光を楽しむこともできます。
住宅の照明と言えば、天井の蛍光灯を思い浮かべる方も少なくないと思います。
今では球種も器具も様々に取り揃えられ、自由にデザインすることができます。
部屋や場所の使い方を考え、ライフスタイルに沿う明るさを確保できれば、夜の室内をとても心地よい空間にできると思います。