京都の建築家が教える注文住宅のツボPoint in the order housing @Kyoto
column52 照明設計のいろは 照明にもメリハリ! 2020.08.05
必要な光とは?
照明計画は作業のための光から考えます。料理をする、勉強する、新聞や本を読む。
家の中での能動的な作業には、300lx以上の照度がふさわしいとされます。
ただ明るすぎる場所に長時間いると、疲労を感じる人もいます。
そこで部屋全体の照度ではなく、作業スペースのポイント照明を計画します。
飛行機の座席の上の読書灯をイメージすると、ポイントを絞ったタスクライトが理解しやすいと思います。
周囲は薄暗くても、手元だけは文字が読める程度に明るい。
機内ほどの極端さは必要はありませんが、家の中でもメリハリをつけた照明で、機能的かつドラマチックな効果をあげることができます。
例えば、書斎。
基本的にそこで時間を過ごす人数が少なく、居場所は机の前にほぼ固定されます。
光源となるパソコンの普及で、天井照明の必要性が最も低い場所の一つです。
空間の照明は間接照明だけ、デスクの上は棚板のLEDテープライトで。
好みのデスクライトを探すのも楽しいでしょう。
食事をするスペースの照明は、家族構成やお好みによって大きく変わります。
子供が小さい家庭なら、危険なスペースが生まれないよう明るめに。
床の汚れやゴミなど、部屋の隅々まで見透せる照明が好ましいでしょう。
大人だけの家庭なら、気分によって明るさや光の色を変える可変照明。
食事中は明るくにぎやかに、食後は照明を落としてホテルのバーやラウンジのようなゆったり優雅な雰囲気を。
食卓のペンダントライトには、卓上の料理を美味しく見せる効果があります。
実は天井照明だけでは、食卓を囲む人の顔に影ができることがあります。
卓上60〜80cm程度の高さにペンダントライトを設置すると、食卓に座る人の表情が正面から照らされ、にぎわう雰囲気作りができます。
寝室の照明のポイントは、明るさより照明器具の位置。
ベッドの真上にダウンライトがあると、横たわった時に光源が目に刺さります。
ベッドサイドで照明スイッチのオンオフができれば、そのためだけにベッドを離れる必要がなくなります。
ホテルのように枕元で操作したり、リモコンスイッチで手元に置いたり。
スイッチプレートは進化して、リモコンとして使えるものがあります。
夜に家に帰ってくるとき、家からこぼれでる光に癒されます。
玄関外部のポーチライトは、スイートホームの暖かさを演出する効果があります。
一方で、不審者を警戒する防犯効果も求められます。
夕方になったら小さく点灯し、人が近づくと明るく点灯する。
そんな段階調光が可能な器具が普及しています。
セキュリティに使用するセンサーライトとともに、夜間の照明計画も忘れずに。