京都の建築家が教える注文住宅のツボPoint in the order housing @Kyoto
column59 省エネ性能自社評価 2020.10.23
住まいと健康の深くて長い関係
住み心地がよくて、ランニングコストが少なめで、環境にも貢献できる、高気密高断熱の住宅。弊社の作品事例の省エネ性能を、自社評価してみました。
評価には、国立研究開発法人建築研究所が提供している専用ソフトを使います。
今回は子育て世代のエコハウス「wings」が対象です。
まず「主たる居室」=LDkの面積と、「その他の居室」=寝室等の面積、そして住宅全体の床面積を入力します。
次に地域区分で、全国8つの地域から該当地域を確認します。
「wings」の所在地は京都近郊で、該当する地域区分は5でした。
次に「外皮面積の合計」。
これは人間なら表皮、住宅でも壁・窓・屋根など文字通りの家の「そとづら」の合計面積で、立面図を元に積算した結果、合計は302.29m2。
次に「熱貫流率と線熱貫流率」で外皮平均熱貫流率を指しますが、これはいくつかの計算の組み合わせで出る数値です。
まず外皮の熱損失量の合計を算出、その数値を先ほどの外皮面積の合計で割算して得られる数値で、いわゆる「Ua値」。
一口に「外皮の熱損失量の合計」と言っても、窓もあれば壁も屋根もあります。
窓はガラスやアルミ・樹脂などの素材で成り立ち、屋根や壁の内側には吹き付け断熱材も木材もあり、それらをパーツごとに熱伝導率や厚みをかけあわせたり、メーカーの仕様書を探して数値を当てはめ、積算し・・・と、なかなか大変な作業です。
やっとの思いで出した外皮の熱損失量の合計147.32w/kを、外皮面積の合計302.29m2で割って、「wings」の外皮平均熱貫流率がでます。
「wings」の数値は、
147.32w/k ÷ 302.29m2 = 0.4873Ua
この数値も地域区分によって基準値が決められ、少ない方が高い評価です。
5地域の基準値は0.87Uaなので、wingsの外皮平均熱貫流率0.49Uaは、地域区分で求められる水準より高水準でした。
1・2地域(北海道)の基準が0.46Uaなので、いい線いってます。
次に規定の日射取得量を外皮面積で割る公式に従い、暖房期と冷房期の日射取得量をそれぞれ2.25η(イータ)AH、1.82ηACと算出。
外皮の後は住宅設備機器の省エネ性能です。
冷房や暖房の種類や方式(部屋ごとか全館か?など)のあと、換気扇と熱交換器について細かく聞かれます。
室内の温度保持に関わる換気の方法は、より重視されるようです。
弊社では24時間換気は熱交換器を伴うダクト式第1種換気が標準仕様なので、機種の仕様書を参照しながら「比消費電力」「温度交換効率」などを入力していきます。
給湯器も弊社はエコキュートを標準仕様としているので、同様に機種名や「JIS相当効率」などを記入。
給湯熱源から給湯先までの配管方式や分岐先の配管径、照明器具は全てLEDか調光できるか、など省エネポイントを問われるので、今後の参考にもなります。
「wings」は太陽光発電やコージェネは装備していないので、数値の入力を終えたら計算ボタンをクリック。
すると「エネルギー消費量」の表が出現し、
「この住宅の基準値は、現行の規定で78.8GJ、H28年以降の基準なら72.8。」
「入力された数値で判定すると、この住宅のエネルギー消費量は57.8GJで、いずれの基準をも下回りました。」
「その他を除く設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で割った省エネ指標のBEIは0.65、住宅の誘導基準値0.9を下回りました。」
との結果が得られました。
これらを元に「BELS」建築物省エネルギー性能表示制度で星の数を算定。
満点5つ星で、5つ星の評価を得ることができました。
写真は自己判定のラベルですが、審査機関にお金を払って判定してもらえば、金色の星がずらりと並んだ華々しいラベルを発行してもらえます。