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column70 すぐできる断熱リフォームは? 2021.07.01

「2030年に温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減」
「2050年カーボンニュートラル達成」

日本の公約ともいえる二つの宣言。
建築・住宅部門での達成方法は、すべての新築住宅のZEH化と、できるだけ多くの既存住宅の「次世代省エネ性能」適合化です。
日本に存在するほとんどの家が高気密高断熱になったら、環境目標は達成され、住環境は快適に、住む人はより健康に、家も長寿になります。

既存住宅の90%は現行基準未満

日本の既存住宅約5400万戸のうち、次世代省エネ基準(H11基準)未満の建物が約9割を占めます。
住宅の省エネ基準適合は現在まで義務化されておらず、基準そのものは時代を追って強化されていますが、現行基準を満たさない家が多数派です。
省エネ住宅は冬暖かくて夏涼しいのですが、「気持ちいい」は強制はできません。
現行基準「次世代断熱性能」は1999年の制定、現行と言いながら20年以上前の基準なので、現在では過去の基準に見えますが。
日本の住宅の省エネ化の道はまだ始まったばかり。
家づくりでは部屋数や面積に目を向けがちでしたが、これからは断熱や気密で得られる「快適で省エネ」に目を向ける時代が来ています。

現行基準はH25基準ですが、求められる性能は次世代省エネ基準(H11)と同格なので、ここではH11次世代省エネ基準を現行基準としています。

窓だけでも違います

ご自身が基準未満の既存住宅のオーナーだったら。
お住いの高気密高断熱化は、どのように進めますか。

既存の木造住宅の高気密高断熱化は、室内を取り巻く床、壁、開口部(窓や玄関)、天井(屋根)すべてが対象になります。
築年数や平面プランによりますが、一般的な断熱リフォームでは床・壁・天井の仕上げの解体から始めます。
テレビ番組「ビフォーアフター」でよくあるように、室内の荷物を出し、建物を骨組みだけにして、断熱材の施工からやり直す工事です。
工事中にその場所に住み続けるのは難しいので、番組のように、住人は一旦別の場所で仮住まいする場合がほとんど。
工事費以外に様々な費用が発生することから、築年数の古い無断熱の建物なら、建て替えた方が工事費を抑えられる場合もあります。

正直言ってそこまでの気力はないけど、もう少し住み心地よくできないかなあ、冬の窓の結露と隙間風だけでも解消したいなあ。
とお考えなら、窓の二重化がオススメです。
既存の窓枠に取り付けるリフォーム用のサッシがあるので、工事は早くて簡単。
建物そのものの改変ではなく、内窓を追加するだけなので省コスト。
お勧めの理由は、室内の暑さ寒さは半分以上が窓からの出入りだから。
ご自宅の窓がペアガラスでなければ、是非一度ご検討ください。
マンションならこれだけで、かなり体感温度が変わるでしょう。
生垣などの緑陰や窓辺の障子やカーテンの併用も効果大です。

換気扇交換も効果あり

築20年以内の建物でも、パイプファン型の換気扇を熱交換型に取り替えると断熱性能は向上します。
2003(平成15)年の建築基準法改正により、24時間換気が義務化されました。
断熱性能でいえば現行基準(H11)以降ですが、換気扇の種類は現在も、外壁に穴を開けて設置するパイプファン式が多数派です。
熱交換型に変更すると、壁の穴が減って外気の直接的な流入がなくなります。
室内への新鮮空気の取り入れは温度調整されるので、高い効果が得られます。

必要な断熱リフォームは、住む人や建物によって様々です。
なんとかしたいとお感じになったら、設計事務所にご相談ください。

→column71 注文住宅の長期保証 2021.07.15

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、アーキシップス京都の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。

住宅ストック約5,000万戸の断熱性能 平成29年度
消費量比較による住宅の省エネ基準の試算
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