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column71 注文住宅の長期保証 2021.07.15

住んで気になる「長期保証」

ものを買うと付いてくる保証書。
住宅にも保証があり、その期間は10年とされています。
近年、ハウスメーカーには30年や60年という長期・超長期の保証を謳う会社が、続々と出てきました。
注文住宅にお住いのオーナー様も、これから建てたいとご計画中の方も、「注文住宅の長期保証はどうなの?」と気になる方も多いのでは。
そこでまず、住宅の保証とは何か、から考えます。

竣工時に交付される保証書は、引き渡される建物(工事)について、
「種類、品質、数量について、契約通りに工事し完了しました。」
と、工事の質を保証し、その趣旨を書面にしたものです。
そこには「もし契約通りに工事できていなければ、契約通りになるよう是正します。」という意味も含みます。

新築住宅の「保証」には、テレビやパソコン同様に期間の定めがあります。
標準的な契約では建物は2年、設備や室内装飾等は1年、機器はその保証書による、など。
いわゆる「住宅の10年保証」とは、建物のうち、
①主要構造部(土台、柱、梁など)
②雨水の侵入を防止する部分(屋根など)
だけは「10年間に渡り保証する」意味で、法律で担保されています。
建物すべてを10年間保証する趣旨ではありません。
また保証の対象は契約された工事内容なので、地震・台風など自然災害や事故ほか工事以外が原因で起こる不具合は、保証の対象にはなりません。

長期保証の対象は、構造と防水

「長期保証」はこの10年間の区切りを、一定の条件で延長する仕組みです。
流れとしては、引き渡し後10年経過の前に建物の現状調査をし、問題があれば補修工事し、保証が継続されます。
10年保証の延長なので、保証の対象は上記の ①主要構造部 と ②雨水の侵入を防止する部分 になります。

①主要構造部 とは、土台や柱、梁など建物の構造部分を指します。

②雨水の侵入を防止する部分 とは、屋根や窓など、雨が降った時に雨水を室内に入れないようにする部分を指します。
もし新築時に屋根や窓に工事の不備があったら、10年待つまでもなく、引き渡し以降の次の雨でしっかり雨漏りします。
なので「10年間問題がなかったらそのままでOK」と結論を出したくなりますが、将来の漏水を誘発し得る劣化がひっそり進行していることも考えられます。

そこで延長保証の契約に際しては、まず物件の現状を調査して、その結果に基づいて必要なメンテナンス工事を行うことが前提になります。
ハウスメーカーの場合は、自社のみでの検査とメンテナンス工事が、保証延長の条件であることが多いようです。
メーカーにとっては「10年目に見込める確実な売上」となり、だから各社が力を入れる成長分野に位置づけるんですね。
住宅オーナーにとっても保証だけでなく、長期間の相談相手を確保できる安心感も得られるので、長期保証は広く浸透しそうです。

注文住宅の長期保証

設計と施工(販売)まで一体のハウスメーカーと違い、建築家が設計し、工務店が工事する注文住宅はどうでしょうか。
新築引き渡し後の10年保証は適用されますが、延長保証は可能でしょうか。

もちろん可能です。
その背景には、保険商品の拡充があります。
住宅瑕疵保険を扱う事業者のあいだで、相次いで瑕疵保険の延長保証を目的とした商品がリリースされました。
「物件調査→メンテナンス工事→延長保証」の流れは同じですが、メンテナンス工事をする工事業者が加入する保険なので、新築時と異なる施工業者でも構いません。
また同様のプロセスを経れば、20年経過後の次の10年、その次の10年・・・と、保証を延長することもできます。

建築家の注文住宅は魅力だけど、長期の保証は大丈夫かな。
そんな不安は過去のものになりました。

→column72 ウッドショックの現在 2021.07.30

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、アーキシップス京都の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。

保証基準 サンプル
保証には時間の区切りがある
指定箇所は10年保証が義務
期限前の検査とメンテナンスで延長可能
同じプロセスで保証の再延長も
家とはずっとお付き合い
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