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column120 令和の時代の家づくり 家は3000万円で建つか? 2025.01.10

「住宅市場動向調査」令和5年のデータから

国土交通省「令和5年住宅市場動向調査」で注文住宅のトレンドを探る3稿目。
前々稿で注文住宅のコストを、前稿で資金計画を取り上げました。
三大都市圏の注文住宅の取得費用は、土地購入からは約7000万円、建築資金は5000万円前後との報告でした(グラフ1)。

なんとなく、家は3000万円くらいで建てられると思ってませんか?
認識を改める時代に入ったと、実感せざるを得ません。

妥協したのは

2001(平成13)年から始まったこの調査に、昨年新しい質問が加わりました。
「(住み替えに際して)妥協したものは?」

注文住宅建築から中古住宅購入まで、住宅取得には様々な選択があります。
どの取得方法でも妥協したもののトップは「価格(予定より高)」でした。

中でも注文住宅を取得した世帯のうち、価格(高)で妥協したと答えたのは回答者の70%近くに達しました。
前述の通り注文住宅の購入費は上昇の一途です。
住み替えを実現できた世帯にも、価格面での妥協は強い印象を残したようです。

住宅選択の傾向は

住宅購入費が急騰する環境下、住宅取得を実現したのはどんな世帯でしょうか。
取得住宅ごとに違いはありますが、世帯年収は700万円〜1000万円前後。
建てる・買う、新築・中古、さまざまな選択肢がありますが、いずれも健全な財政基盤の上に実行されたことが伺えます。(グラフ3)。

興味深いのは、住宅取得に年収の何倍の費用をかけたか、という点です。
グラフ4はこの10年間の、取得住宅別の年収倍率の推移です。
年による変動はありますが、住宅の取得コストに対する年収倍率は、住宅の種類によってほぼ一定であることが分かります。
注文住宅を建築した世帯は、世帯年収の7倍相当の購入資金で実現しました。
分譲住宅と分譲マンションは年収の6倍程度で、中古戸建と中古マンションでは購入資金の年収倍率は3~4倍でした。

世帯収入を考慮して、どのサイズの費用を負担して、どんな家に住むか。
その点に、世帯ごとの住宅の価値や位置付けが現れるようです。

グラフ:国土交通省「令和5年住宅市場動向調査」から作成

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、アーキシップス京都の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。

グラフ1 2014~2023年 住宅建築資金の推移
グラフ2 2023(R05)取得住宅別 妥協したもの(複数回答)
グラフ3 2023(R05)取得住宅別の世帯年収
グラフ4 2023(R05)注文住宅購入資金の年収倍率
  1. 119家づくりの資金計画
  2. 118家づくりのコスト
  3. 117地震保険と耐震化
  4. 116地震と地震保険
  5. 115令和6年1月1日能登半島地震
  6. 114木造住宅の全館空調
  7. 113全館空調のメリット
  8. 112ダクト方式の全館空調
  9. 111全館空調効果と日射遮蔽
  10. 110全館空調効果@竹林風洞
  11. 109階間エアコンの全館空調効果
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