京都の建築家が教える注文住宅のツボPoint in the order housing @Kyoto
column18 ことし家を建てる人の3ステップ! その5 2019.01.18
■消費増税 軽減措置の効果は?
今秋、10月1日の消費増税が、現実味を帯びてきました。
工事費3000万円の建物の場合、8%時点なら消費税は240万円ですが、10%なら300万円なので、60万円の増税。
重税感がどっと増します(土地は非課税)。
そこで住宅市場の急速な冷え込みを避ける目的で、次のような支援策が用意されました。
①住宅ローン減税の拡充
10年間、年末のローン残高の1%を所得税から控除する制度
→借入限度額が2000万円から4000万円に拡充、控除額の上限も上がりました。
②すまい給付金の拡充
自分が住む住宅を取得した人に対して現金が支払われる制度
→年収制限が緩和され、給付額もアップしました。
③次世代ポイント制度
2019年4月~翌年3月に請負契約・着工し、2019年10月以降に引渡す物件が対象
→条件に適合する住宅が対象で上限35万ポイント(リフォームは上限30万ポイント)。
④贈与税非課税措置の拡充
住宅取得等のために直系尊属から贈与を受けた場合の非課税枠
→最高1200万円が3000万円に拡大しました。
これらはどの程度の効果があるのでしょう。
工事費3000万円のローンを組む場合、消費税額は8%で240万円、10%で300万円なので、経過措置以降に家を建てると単純計算で60万円の増税になります。
減税措置を計算します。
建主が仮に年収600万円なら、すまい給付金は30万円給付され、住宅ローン減税は初年度に約29万円。
1年目だけで合計59万円の減税効果があり、増税額とほぼ並びます。
上限35万円の次世代ポイトを組み合わせると、概算で増税額以上の減税効果がありそうです。
住宅ローン減税は10年間で250万円以上の減税になる計算です。
住宅建築費用の一部や全部を、ご両親や祖父母などからの贈与で計画するならさらに大きな減税効果もあります。
単純計算による例なので、実際の効果は税務署や税理士等にご相談をお勧めしますが、支援策は効果があると判断して良さそうです。
また、実際に家を建てないと恩恵を感じにくいのですが、以前から、住宅取得を促す様々な減税措置がありました。
所有権の保存登記等に係る特例措置
→所有権保存登記の登録免許税の税率0.4%は、特例で0.15%に軽減されています。→ローン設定時の抵当権設定登記の税率0.4%は、0.1%に軽減されています。
不動産取得税の税率
→住宅を取得した時の不動産取得税の税率4%は、3%に軽減されています。→新築は税金計算の元になる課税標準から1,200万円を控除されます。
固定資産税の減額
新築住宅は固定資産税を3年間2分の1に減額されます。認定長期優良住宅の優遇
→上記以外に、住民税にも優遇措置があります。税法上の優遇は、資格のある個人が、申請してから適用されます。
いつ、いくら、どのように優遇されるのか。
計画段階で恩恵を実感できないことが、不透明に感じやすいところです。
ただ長年、住宅の設計を手掛けて感じることは
「住宅建築や住宅購入は内需拡大の不動のエースである。」
「エースを支えるための手段はいつもひねり出される。」
と言う、制度上の方針です。
あくまでわたし個人の感触ですが、いついかなる時でも住宅建築に関しては、後押しする政策が用意される点に、変化はないと感じます。
つまり、増税含みの不透明な環境の中、いつ家を建てるのがいいのか?
と聞かれたら、
「あなたの準備ができた時なら、いつでも」
「税制は、家を建てる人の味方をしてくれます。」
と答えることになりそうです。