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column99 坪単価100万円時代 2023.04.26
「住宅市場動向調査」最新データから
国土交通省から「令和3年住宅市場動向調査」が発表されました。この調査は住宅政策の基礎とすることを目的に、2001(平成13)年から毎年、行われています。
調査の対象は「注文住宅」「分譲住宅」「既存(中古)住宅・マンション」「リフォーム」などの理由で、住まいを替えた世帯が対象です。
年齢等の属性だけでなく、なぜその選択をしたか?どのように?など、志向の違いも数値化される、興味深いデータです。
三大都市圏では土地込み平均6,315万円超え
まずグラフ1、注文住宅の取得資金を見ましょう。土地を購入して注文住宅を建てた場合、取得資金の全国平均は建物が3,459万円、土地代を含むと5,112万円でした。
三大都市圏では、建物は3,843万円、土地代を含むと6,315万円です。
データの取り方で比較可能な8年前2013(平成25)年は、全国平均で建物2,882万円、土地込みで4.017万円。
その年の三大都市圏では建物2,992万円、土地込みで4,537万円でした。
2021(令話3)年を8年前と比較すると、住宅取得に必要な資金は20~30%上昇したことになります。
特に三大都市圏の土地込みの金額は、39%の上昇でした。
三大都市圏では坪単価100万円超え
グラフ2は、土地を購入して注文住宅を建てた世帯の、住宅の坪単価です。坪単価は、土地代を含まない住宅の建築資金総額を、建物の坪数で割った数字です。
2021(令話3)年の全国平均は94.9万円、三大都市圏は105.8万円でした。
2013(平成25)年は全国が76.8万円、三大都市圏が80.1万円なので、比較すると8年で20~30%超の上昇したことがわかります。
消費者物価指数は、2013年を100とすると2021年にかけて8%程度上昇しましたが、住宅価格の上昇はそれを上回ります。
分譲住宅や中古住宅の価格は?
注文住宅の価格上昇率が消費者物価指数より高いことがわかりましたが、ほかの住宅形態ではどうでしょうか。グラフ3を見ると、分譲住宅・中古住宅などいずれも、上下しながら右肩上がりに上昇しています。
顕著な値上がりを見せるのが分譲マンションで、2013(平成25)年には3,583万円だった全国平均が、2021(令和3)年には4,924万円と約37%アップしました。
分譲マンション価格は都心で高騰が続き、つい先日、2022(令和4)年の東京23区の平均価格が9,899万円だったと発表がありました。
その影響もあるのでしょうか。
グラフ4は住宅購入世帯の世帯年収です。
購入した世帯の年収なので当然ではありますが、こちらも上昇しています。
住宅取得の80%を占める一次取得者の世帯年収は、2013(平成25)年は587万円でしたが、2021(令和3)年には733万円と、約25%の上昇しました。
年齢層が上がる二次取得世帯は、684万円から941万円へ約37%と、より高い上昇でした。
総務省の国民基礎調査によると、児童のいる世帯の平均は同じ期間で約17%の伸びなので、一次取得も二次取得も、住宅取得世帯の上昇率が上回りました。
グラフ:国土交通省「令和3年住宅市場動向調査」から作成