京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto
column98 補助金リフォームおすすめの家 2023.03.24
リフォームする?したほうがいい?
国策となったカーボンニュートラル実現に向かって、関係省庁は矢継ぎ早に施策を打ち出しています。省エネ改修を目的にした住宅のリフォーム支援策もその一つ。
税率優遇やキャッシュバックで住宅所有者のモチベーションをあげる政策で、今回は補助率と金額上限の高さが話題です。
リフォームの実際
日本の既存住宅は7割近くが築30年以上の中古住宅、なので様々なリフォーム需要があります。国土交通省「住宅市場動向調査によると、令和3年に最も多かったリフォームは、住宅外部の改修で38.3%、住宅内部の改修は36.8%でした。
住宅内部の改修を実施した世帯の83.1%、全体の約30%が「台所・便所・浴室等の設備を改善」です。
窓や建具の改修は全体の8.6%、断熱改修は2.4%。
建具も断熱化も住宅省エネ化には欠かせない改修ですが、リフォーム市場の主役はやはり、外壁と水周りなんですね。
だから省エネ改修目的の、異次元規模の補助金導入となるようです。
断熱改修しなくていい家 = 断熱等性能等級5以上の家
なにせ7割が築30年以上の日本の既存住宅、そのほぼ全ては改修の余地があります。では、住宅断熱化を検討する必要のない家とは?
この数年に建築された断熱等性能等級5以上の家、検討の必要はありません。
断熱等性能等級だけで測っていいのか?と疑問が出そうですが、省エネを考慮した断熱等性能等級5の家なら、一次エネルギー消費量についても考慮されていることは容易に推察できます。
断熱改修で、快適な省エネ住宅に変身する家 = 断熱等性能等級4の家
上記以外の家は、築浅でも断熱改修を検討する価値があります。1999(平成11)年以降の築20年以内の建築でも、長期優良住宅や住宅性能表示を取得していない家、または同等の質を担保したと説明のない家は要確認です。
「窓はペアガラスか?」
「屋根面から床面まで、切れ目なく断熱材が入っているか?」
など、ご自宅の省エネ性能を確認しておきましょう。
補助金を利用して断熱改修した方がいい家 = 断熱等性能等級2〜3の家
1980(昭和55年)年から1999(平成11)年の約20年に計画された家、年数なら築20年から40年を少し超える家は、既存住宅のおよそ58%にあたります。この時代の家は、窓・扉、建築躯体への断熱化、高効率機器など複合的な改修工事で、省エネ性能と快適さの両方が大幅にアップしそうです。
「先進的窓リノベ事業」や「既存住宅の断熱リフォーム支援補助金」が使えます。
今回の大盤振る舞いは、この層のリフォームを促す政策と思われますが、工事費が大きいほど補助金の相対的価値も上昇します。
ぜひこの機会に、補助金利用の省エネリフォームのご検討を。
省エネの観点からだけ見たら、建て替えたほうがいい家 = 無断熱の家
1980(昭和55)年以前の建物の省エネ化は難題です。断熱という考え方が浸透する前、昭和55年以前に建築された住宅の多くは低気密無断熱で、簡単な改修では対処できないケースがほとんど。
実に、現存する日本の家の30%以上がこの時期の住宅です。
とはいえ住宅の価値は省エネ性能だけでは測れません。
家は家族の歴史そのもので、単一の観点で判断できるものではありません。
愛着もある、住み続ける意思もある、けど冬だけはつらい。
そんな歴史ある家に住み続けるなら、部分改修という考えもあります。
「既存住宅の断熱リフォーム支援補助金」の「居間だけ断熱」が使えます。
冬寒い家を、我慢しなくていい
家は個人の価値観の拠り所で、環境にいいとか省エネとか、地球規模の正義で語られることに違和感を感じる方も多いと思います。では、生活レベルの実感ではどうでしょうか。
この冬の電気代、ガス代、灯油代は、すごかった・・・
家の中で風邪をひいた・・・
快適や安心の欠乏状態を取り除くのがリフォーム、と定義したら。
この冬の寒さを、来年も我慢する必要はありません。
冬に暖かい家は、快適で健康で省エネで、環境にもいい家なのです。