京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto
column89 15年目の新築計画 2022.10.24
ある日、ストレスがピークに
築15年を経て、木部保護剤や白木のアクが気になってきた自邸。新築を取り戻すべく、補修に着手しました。
これといったきっかけがあったわけではないのですが、日々、外壁の汚れが気になって、蓄積したストレスがついにピークを迎えたようです。
住宅設計をする立場としてご依頼者様には、
「こまめなメンテナンスでいつまでも美しく快適に。」
などとお伝えしますが、自邸はすっかり後回しでした。
今回の一番の目的は、左官仕上げの外壁の汚れを取り除き、新築時の輝く白さを再現すること。
気分は「新築を取り戻せ!」です。
方法を検討した結果、汚れを軽く落とし、上から吹き付けて塗膜を作る方法を選びました。
左官壁はあたたかな独特の風合いが魅力なので、その質感を壊さずに今後汚れがついても水洗いできるよう考えました。
工事開始は足場から
外壁工事は足場を組む必要がありますが、既存住宅の足場設置は新築と比較して大幅なコストアップになります。何もない更地に足場を組む新築工事と違って、障害だらけの既存住宅への足場設置は、数倍手間暇がかかるからです。
金額が上がるので足場設置がリフォーム検討時の難所ではありますが、メリットも多々あります。
高い位置のサッシのコーキング打ち直し、手の届かない吹き抜けの窓拭き美装、木部の再塗装、樋や屋根の点検整備。
今回は外壁補修が目的なので、迷うことなく足場設置しました。
工事は足場を組んで、窓のコーキング打ち直しから始めました。
アルミも樹脂も、窓ガラスはコーキングやビードなど粘着性の素材で固定します。
サッシとガラスの間の、ゴムのように見えるラインですね。
どこにでも目にするビードやコーキングですが、実は乾燥で収縮するので、経年変化でガラスとサッシの間に隙間が生じることがあります。
会社や家の窓、ガラスのフチをよく見てみてください。
日当たりが良い場所だと、窓周囲のビードやコーキングが乾燥して角が丸くなったり、劣化が進むとヒモ状に垂れさがることもあります。
自邸の場合はそこまでの状態でもなかったのですが、真冬にサッシ付近で空気の出入りを感じることがあり、打ち直しすることにしました。
もしご自宅が新築時と比較して寒くなったり、隙間風を感じるようになったら。
簡単に治ることもあるので、ぜひ専門家にご相談を。