京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto

column83 2030年ZEH水準義務化 2022.01.27

法案提出見送りでも

1月17日に開幕した第208回通常国会で、審議予定だった一つの法案。
先般からお伝えしている建築物省エネ法の改正案です。
「2025年の省エネ基準適合義務化」「2030年までのZEH水準への基準引き上げ」を含む重要な法案ですが、選挙予定を見据えて今国会では提出しないとか。
ただし国土交通省は、建築物の省エネ化は予定通り進めるとのこと。
国際公約のカーボンニュートラル2050は、待ったなしの状況です。

法案に含まれる「義務化」や「基準引き上げ」という言葉は、住宅を計画中の方にはハードルが上がる印象があるかも知れません。
が、心配はご無用です。
建築家の注文住宅はもよとより、多くの新築住宅の省エネ性能は、とっくに省エネ基準をクリアしています。
現在の省エネ基準は、単位や表記が変わりましたが、求められるレベルは平成11(1999)年「次世代省エネ基準」のまま。
創設から20年以上経過して住宅市場に浸透し、住宅販売の現場で省エネや住み心地を重視されるようになり、技術も格段に進歩。
現在では「断熱等性能等級等級4」「一次エネルギー消費量基準等級5」を超える住宅は、珍しくない存在です。

ZEH水準は未来のスタンダード

今の断熱等性能等級は国土交通省主導の建築物省エネ法に定める等級ですが、環境省や経済産業省主導のZEH(ゼロエネルギーハウス)では現況等級を超えるレベルを目指しました。
建築物省エネ法とは別に、独自の「ZEH認定水準」が設定されました。
民間でも省エネ住宅を推進する団体はより高度なレベルを提唱し、住宅販売の現場では現行基準を上回る省エネ性能の住宅が多く流通しています。
そこで今回国土交通省も新基準として現行のZEH水準に当たる「断熱等性能等級5」「一次エネルギー消費量基準等級6」を新設、さらなる上位等級の導入も検討されています。
2030年には新築住宅の「省エネ性能=ZEH水準」が義務化されます。

「ZEH水準」は、太陽光発電などの創エネ装置が必須のZEH認定とは違い、断熱性能と一次エネルギー消費量の削減率だけクリアできればOKです。
地域区分で異なりますが、6地域(本州の主な都市部を含む)なら断熱性能は外皮平均熱熱貫流率Ua値で0.6W/m2K以下、一時エネルギー消費基準はBEI0.8を以下とされています。
さてこれはクリアするのが大変な数字でしょうか?
ポイントはそこだと思いますが、前述の通り高気密高断熱住宅を目指す注文住宅なら、クリアできるレベルでしょう。
弊社作品「はなあふ家」は、「断熱性能等等級5/一次エネルギー消費量基準等級6」を超え、民間提唱のG2グレードを実現。
建築主の意欲があれば、高い性能を得ることができます。

→column84 第三種換気 vs コロナ 2022.02.22

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、アーキシップス京都の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。

R033月時点の長期優良住宅の認定状況 国土交通省
上位等級の新設
「はなあふ家」はG2グレード
「はなあふ家」開放感と高気密高断熱を両立
  1. 82合言葉は「ZEH水準」
  2. 81省エネは義務?
  3. 80家は動線で作る
  4. 79注文住宅の質とは
  5. 78住宅費用の上昇要因
  6. 77注文住宅の理由
  7. 76注文住宅と言う選択
  8. 75令和の時代の注文住宅
  9. 74令和の時代の家づくり
  10. 73ウッドショック後の世界
  11. 72ウッドショックの現在
  12. 00バックナンバー