京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto
column81 令和の時代の家づくり 省エネは国民の義務? 2021.12.22
2050年カーボンニュートラル宣言から一年
建築業界を揺るがせた「2050年カーボンニュートラル」宣言からはや1年。この間、実現のための具体策が次々と検討、決定されています。
カーボンニュートラルについては以前にもこのコラム「カーボンニュートラル2050」で取り上げました。
様々な施策は、これから家づくりを計画する人に大いに関係します。
*グラフ1.2は資源エネルギー庁サイトより転載、一部加筆
「2050カーボンニュートラル」とは
概要を振り返りましょう。2020年10月の国会での所信表明演説で、「2050年カーボンニュートラル実現」が宣言されました。
ロードマップの一環として、「2030年に温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減」を、2021年の国連気候サミットで約束しました。
政府方針に続き、国際公約としての「カーボンニュートラル」確立です。
カーボンニュートラルとは平たく言うとこうなります。
「進行しつつある地球温暖化のスピードをスローダウンするために有害な温室効果ガス排出ゼロ!と言いたいけれど、現代の技術では難しいので、今ある技術を総動員してプラマイゼロにする、そして地球環境のこれ以上の悪化を食い止めましょう。」
実現のためにはエネルギーを必要とするすべての活動、産業・運輸・エネルギー転換部門とともに、住宅建築部門においても目標をクリアする必要があります。
しかし住宅建築部門では、大半がそんな概念のなかった時代の既存建築物。
所有者に新基準適合への改修義務を負わせることは、困難です。
そこで許認可で管理しやすい新築建築物に、規制がかかることになります。
地球規模の環境問題は、これから家を計画する人に大いに影響するのです。
高気密高断熱住宅で、地球と自宅の未来を守る
住宅建築部門でできるカーボンニュートラル実現への道は、はっきりしています。既存住宅のうち、省エネ基準が現行制度に合致する住宅は10%程度。
リフォームで基準を満たせる住宅は、補助金等で省エネ基準適合に誘導。
リフォームで達成困難な既存建築は、建て替えを誘導。
建て替えや新築には省エネ建築やゼロエネを義務化。
数10年続ければ、いつか(30年後くらい)全建築物の省エネ化が実現する。
省エネ住宅の基本は、エネルギーコストが少ない高気密高断熱住宅です。
それは断熱性能の高い外皮(外壁、屋根、窓etc)と、給湯や冷房に高効率な機器を選択することで可能になります。
太陽光発電でエネルギー創出までできれば、認定の有無にかかわらず「ゼロエネルギー住宅」が実現。
環境貢献だけではなく、冬暖かく夏涼しい健康住宅も実現できます。
2022年、省エネ等級が変わる
カーボンニュートラルのための施策はこれまでも建築行政に反映されてきました。例えば今年の4月から始まった、省エネ基準適合の説明義務も、その一環です。
来年には省エネ基準の上位等級の創設が予定されています。
現在、断熱等性能等級は等級4(Ua値≦0.87/6地域)が最上位とされ、長期優良住宅の認定にもこの基準が使われています。
2022年に等級5(Ua値≦0.6)を新設されると長期憂慮住宅認定基準もアップグレード、これまで規定がなかった一次エネルギー消費量基準についてはも等級6(BEI≦0.8)が追加されます。
次回から、個人の家づくりに関係が深い施策をご紹介します。