京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto
column84 第三種換気 vs コロナ 2022.02.22
「換気が大事」で室温ダウン?
2020年1月の新型コロナウィルス日本上陸から、丸2年。対策を続けて、少しづつ弱毒化の兆しも見えて来ました。
会食機会の削減や手指消毒、そして窓を開けての換気も有効な対策です。
ところがこの時期、換気のための窓開けは室温の低下を招きます。
換気はわかるけど寒いのはちょっと、コロナは困るけど風邪もコマル。
切実なこの悩み、少しの工夫で緩和できるかもしれません。
一人30m3/毎時=窓開け?
厚生労働省のサイトによると、専門家会議が推奨する換気の目安は「必要換気量一人あたり毎時30m3」。「一人あたり毎時30m3」て、どんな空気量でしょうか。
例えば天井高2.4mの8畳のお部屋があるとします。
気積(空気の体積)は、天井高2.4m×幅3.64m×奥行き3.64mで32m3弱。
「一人あたり毎時30m3の換気」とは、「一人につき1時間に一回、8畳間程度の空気量を入れ替えること」。
30m3/h程度の能力がある換気扇が8畳間にあって、一人で過ごすなら、換気扇の稼働だけで推奨要件を満たし、窓開けの必要性は低くなります。
換気扇の能力はカタログに表記されていますが、一般にはあまり知られていません。
住宅が一律でないのと同じく、換気扇の機種や能力にもバラツキがあります。
部屋にいる人数の違いで必要換気量も変化するため、住宅の場合は特に、室内の空気の質をコロナ対策に有用なレベルで一律に均質化することは不可能。
そこで「窓を開けましょう」と推奨することになります。
24時間第3種換気
コロナ対策の換気は、お部屋が冷える選択肢しかないのでしょうか?そこで確認したいのが窓と換気扇の位置です。
一般的に窓も換気扇も、部屋の外壁側に設置されます。
換気扇が窓の真横、と言う場合も少なくありません。
もし窓と換気扇が同じ壁の近い位置に設置され、お部屋にはその窓だけなら。
窓を開けて導入した新鮮空気は、横の換気扇からそのまま排出されることに。
換気の目的は室内汚染空気の排出なので、これでは窓を開ける甲斐がなさそう。
では寒さを防ぎつつ換気する方法は?
家中の換気扇を全て稼働して、お部屋入口の扉を開けましょう。
コロナ対策換気の目的は室内空気の排出。
換気の基本は、入口と出口を作ること。
出口は換気扇なので、反対方向に空気の入口を作ることで、空気の通り道を作ることができます。
一般的な既存住宅はほとんどが機械による強制排気の第3種換気を採用しています。
その仕組みは24時間の強制排気と、給気口からの新鮮空気の流入。
扉を通じて屋内から給気する換気も、第3種換気です。
窓開けに抵抗を感じる時は室内扉も活用して、換気を続けましょう。