京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto
column90 15年目の新築、木部はサボるな 2022.10.27
木部保護剤は美観だけではない
15年目にした着手した、新築を取り戻す工事。竹林風洞で外壁の白さを際立たせるのは、色も質感もコントラストをなす木部です。
白木と灰黒色杉板でモノトーンの印象を作る竹林風洞ですが、悲しいことに経年変化で白木にはアクが浮かび、杉板は退色してまだら模様。
そこで壁の吹き付け前に、木部の補修にかかりました。
風雨にさらされる外壁木材には、新築工事時に木質保護剤を塗装します。
保護剤はメーカーが指定する耐用年数内に、メーカーが指定する方法で再塗装を続ければ、良好な状態を維持できます。
よくあることですが、多忙に紛れて保護剤の耐用年数を超えて放置しておくと、ささくれた端部から雨水が侵入することがあります。
湿度を含んだまま長時間が経過すると、虫害や腐朽、割れや剥離を招き、家の寿命を縮めかねません。
定期的な木質保護剤の塗り替えは、美観目的だけではなく、保護機能の維持継続のためにも大変有効なのです。
木質保護剤はキシラデコールやオスモなどの商品名が浸透していますが、今回は少しツヤ感のあるオスモウッドプロテクターを採用しました。
再塗装の効果は絶大で、雨の日に樋のない軒先を見ると、雨粒が水滴のまま落下するようになりました。
ウッドデッキの受難
外部の木部では、ウッドデッキも一部を取り替え、塗り直しも行いました。ベランダやテラスのウッドデッキは冬に雪を載せることがあります。
雪による長時間の湿潤状態や凍結・融解が繰り返すと、デッキ材は大きなダメージを受けてしまいます。
竹林風洞では変色してきたかなと思いつつ数年、気付いたらデッキの縁が欠け始めているではありませんか。
加速的に損傷が拡大した結果、数本は撤去して作り直すことに。
新設と再塗装でデッキは完全復活し、雨の日にはデッキが水を弾いて、箒で掃き落とせるほどに再生しました。
木は印象も質感も人に優しい素材ですが、経年変化しやすいため、継続的なメンテナンスが求められます。
続けるのは難しいと感じる方が増えていることから、最近では人工木を使った商品も人気です。
多くのメーカーが参入し、色も風合いも木と見まごう商品が普及してきました。
また木の風合いを印刷技術で再現したテラス用タイルも、メンテナンスは掃くだけの簡便さで、大変喜ばれています。