京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto
column91 新築とは違う喜びがある 2022.11.21
換気扇の清掃工事?
15年目にした着手した、新築を取り戻す工事。足場のあるうちにと、長年考えていた換気扇のフィルター交換・清掃も、電気空調工事会社に依頼しました。
年末の大掃除で台所のレンジフードを清掃をする方は多いと思います。
しかし工事代金を支払って換気扇の清掃を依頼、となると驚く人も多いでしょう。
一般的なリフォーム工事の概念からは外れますが、これはオススメです。
プロの換気扇清掃は室内側だけではなく、足場に上がって外部からフードの内側を吸引清掃する、ブロー工事も行います。
家の中と外をつなぐ換気扇なので、壁を挟んで両側から清掃する必要があるのです。
普段は気付きませんが、室内にはハウスダスト以外にもキッチンから流れる油分や、屋外からの花粉やPM2.5が浮遊しています。
それら不純物を除去するフィルターを交換し、汚れが付着した機器を内外から清掃することで、室内の空気質は蘇ります。
空気の流れがよくなって新鮮空気が行き渡り、室温も隅々まで平均化します。
今回、初めて電気空調業者に依頼しましたが、室内環境の改善は明らか。
考えてみれば体内に取り込むのは水や栄養素より空気の量がはるかに多いのですから、室内空気の質が快適性や健康に影響するのも当然かも知れません。
根切りで仕上げ
外構の植栽も、手を入れました。自邸竹林風洞は家を挟んで、前庭、中庭、裏庭と3面の庭が広がるので、毎年造園業者に剪定は依頼しています。
ある時ヤマモミジの足元が盛り上がって、10cmほども縁石を動かしたことに気づきました。
木が育ち根が広がった結果ですが、縁石の移動は庭の様子が変わってしまうことにもつながるので、根切りを決めました。
たまに街路樹の根が盛り上がって歩きにくくなった歩道がありますが、同じことが住宅で起こったのです。
駐車場に敷設した枕木の一部には虫害が原因の腐食も見つかり、防蟻工事と枕木の取り替えも実施しました。
水はけの良い場所なので不思議に思いましたが、地面を少し掘ると植栽の根がかなり密になっていました。
細い根が網状の受け皿となって水はけを阻害、湿潤状態が長引いて湿度を好む虫の被害につながった、そんなメカニズムのようです。
庭の土に苔が生えたり水はけが悪くなったと感じたら、ぜひ早めに造園業者に相談してみてください。
新築とは一味違う喜び
弊社では今回のような、新築当時の見た目や居心地を取り戻す改修工事を依頼されることが増えて来ました。工事の内容にかかわらず、完成後は必ず大変喜んでいただけます。
今回、自分で経験してよくわかったのは、まとまった費用をかけても、住まいが新築を取り戻すことの喜びです。
毎日毎時間を美しく快適な家に身を置く喜びは、新築当時とは違う、別の価値を感じます。
愛着が増した分だけ、より大きな満足感を得られるのでしょうか。