京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto
column95 断熱改修がやって来た 2023.02.06
住宅脱炭素化の本丸は、既存住宅の改修
家づくりも、環境政策と切り離せない時代になりました。「脱炭素社会実現のロードマップ」によると、2030年までに新築住宅は、ZEHレベルの省エネ性能と太陽光発電等再エネ設備、この両方がほぼ義務化されます。
これは新築住宅の話、いま家づくりが進行中、あるいは遠くても近くても計画がある・・・という方に関係します。
でも既存住宅の大多数は、建て替えが必要なほど古くはないけど、現行省エネ水準は満たさない中古住宅です。
最多数の中古住宅群をハイレベルな省エネ住宅に転換する施策も、「脱炭素社会実現のロードマップ」の実現には欠かせないと考えています。
選べる補助金
環境貢献だけでなく、住む人の健康によくランニングコストの安い省エネ住宅。中古住宅所有者に、どうしたらリフォームを促せるか?
価値を納得してもらう周知ときっかけとなる補助金、両面からの施策が必要で、すでに始まっています。
環境省のサイトから、二つの補助金をご紹介しましょう。
既存住宅の断熱リフォーム支援補助金
これは断熱改修と、高効率機器の導入を同時に行う場合に利用できる補助金です。断熱改修は、壁・床・天井などに断熱材を入れたり、内窓等で窓の気密性を高める、工事を伴う改修です。
高効率機器とは、太陽光発電用の家庭用蓄電システム、家庭用蓄熱設備(エコキュート)、熱交換型換気扇を指します。
「親世代が建てた我が家、建て替えは面倒だけど、終の住処だから多少お金をかけても寒さ対策したい。」
こんなお悩みにフィットする補助金です。
建物の断熱・気密化と高効率機器の導入、両方を含む工事が対象です。
ポイントは、建物全体の「トータル断熱」か、リビング限定の「居間だけ断熱」か、を選べるところ。
補助金額の上限は120万円で(補助率は1/3以内)、工事見積が360万円なら自己負担は240万円で済みます。
「居間だけ断熱」は、窓の気密工事と高効率機器の導入で対象になり、補助金額の上限も「トータル」と同じ120万円と、実用性の高い補助金です。
公募期間や方法など、詳細は「公募情報」をご参照ください。
先進的窓リノベ事業
こちらは窓に焦点を当てた補助事業です。「庭に面した掃き出し窓、冬は冷気が入って寒い。」
そんなお悩みを持つ方も多いのでは。
窓は壁と比較して断熱気密性能が低く、特に単層ガラスのアルミサッシは、寒さが侵入し暖かい空気が逃げ出す、断熱気密の大きな弱点になります。
その弱点をピンポイントで克服する窓の改修は、工期が短くて住人の負担が少なく、大きな工事をしたくない方にはお勧めできる改修方法です。
補助額は窓のサイズや数量等の工事内容に応じて変動し、一戸当たり5万円から最大200万円までとなっています。
登録業者での契約が必要など要件もあるので、詳細は「先進的窓リノベ事業」をご参照ください。
補助金はあくまで改修工事を計画する人のサポートですが、我が家のこれからについて、考えるきっかけにもなりますね。