京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto
column94 脱炭素社会実現のロードマップ 2023.01.30
「太陽光発電義務化」は全国に
日本全国に反響を呼んだ、東京都の新築住宅太陽光発電義務化。実は東京都の単独政策ではなく、国全体で取り組む計画の先取りです。
その計画とは「脱炭素社会の実現に向けたロードマップ」。
これは国土交通省、経済産業省、環境省が策定した、2050年カーボンニュートラル実現のための工程表です。
脱炭素社会とは、二酸化炭素排出量を実質ゼロに抑える社会。
現在の技術でゼロは不可能なので、再生可能エネルギーの創出と差し引きして、実質ゼロにするのがカーボンニュートラルの考え方です。
産業革命以降、化石燃料の消費による二酸化炭素排出量が激増、その結果地球温暖化が加速して災害が急増。
そこで二酸化炭素の排出量を削減して産業革命前の地球を取り戻す、そして限りある資源を未来に残す、脱炭素社会を目指す取り組みが始まりました。
実現には地球規模の協力体制が不可欠で「気温上昇を産業革命前から1.5度以内に抑制する」と国際的に合意したのが、2015年のパリ協定。
日本が「2050年にカーボンニュートラル(=脱炭素社会実現)します!」と国際社会に向けて宣言したのが、2021年の気候サミットでした。
そして示された工程表が、「脱炭素社会の実現に向けたロードマップ」です。
東京都は前倒し、全国でも2030年に義務化
ロードマップには取り組む主体が誰か、それぞれがいつ、どのように実現していくか、年度を区切って記されています。住宅を含む産業・民生部門の2030年の目標は、このように記されます。
「新築住宅についてZEH基準の水準の省エネ性能が確保されている」
「新築戸建住宅の6割において太陽光発電設備が導入されている」
太陽光発電等の再エネ設備には設置に向かない場所もあるので、「6割の住宅」との表現は「設置可能な場所では全て」と読めます。
再エネ発電とハイレベルな省エネは、カーボンニュートラルの両輪。
東京都に限らず全国でも、太陽光発電の設置とZEHレベルの省エネ性能は、2030年までには義務化されるのです。
家作りは、家族構成や生活に合わせて住む場所や間取り、面積を確保する、個人の必要を満たす行為です。
これからは、地球の必要を満たす行為、にもなる。
家作りや建築行為に限らず、消費選択のたびにそんな視点と行動が求められる、時代がここまで来ています。