京都の建築家が教える家づくりのツボPoint in the order housing @Kyoto
column97 窓改修がアツすぎる 2023.03.06
本気でカーボンニュートラル
断熱等性能等級の5・6・7が一度に制定されるなど、住宅省エネ施策が次々と打ち出された2022年。2025年には新築住宅への断熱性能等等級4が、2030年には等級5が義務化され、やっと住宅の、省エネ性能標準装備が始まります。
と言ってもそれは新築住宅のこと、既存住宅の9割を占める中古住宅の、省エネ性能が向上するわけではありません。
そこで、個人の住宅省エネ改修を促す補助事業が、続々施行されています。
以前にも本稿でご紹介したこの補助金は、予算規模からも補助率の高さからも、カーボンニュートラル達成への本気度がうかがえます。
高効率機器と断熱改修のセットを対象とした、補助率1/3で限度額120万円の「既存住宅の断熱リフォーム事業」。
窓の改修を対象とした、補助率1/2で限度額200万円の「先進的窓リノベ事業」。
ここでは「先進的窓リノベ」について、見てみましょう。
窓だけで、補助率1/2、上限200万円
目的が「断熱窓への改修促進等による家庭部門の省エネ・省CO2加速化支援」なので、既存住宅の窓を改修する際に使える補助金です。これまでも「こどもみらい住宅支援事業」など、カーボンニュートラルを目的とした補助制度はありました。
ただ新築で100万円、リフォームで60万円など、建築主目線では「助かるけど、モチベーションになるほどでは・・・」と言う半端感はありました。
しかし今回の「窓リノベ」、窓の改修だけで補助率1/2、しかも上限200万円。
総額400万円でも自己負担は200万円になる、画期的な内容です。
しかも戸建だけでなくマンションも対象、間に合えば「こどもみらい住宅支援事業」との併用も可能です。
オススメはコスパばっちりの内窓
断熱窓とは、ガラスが2枚以上の複層ガラスや、ガラスを支える枠が断熱仕様または樹脂製の、気密性能が高い窓を指します。熱伝導率の高い単板ガラスとアルミサッシの組み合わせで起こり易い、窓からの冷気の侵入やガラス表面の結露。
断熱窓ならこんなストレスから解放され、保温性能アップ、エネルギーコストダウンで、生活の質はぐっと向上します。
窓の改修には内窓、外窓交換、ガラス交換などの方法がありますが、工事の簡単さと省エネ効果の高さ、コストパフォーマンスから、内窓の取り付けがお勧めです。
保温だけでなく防音効果も高く、工事期間が短く、施工箇所が限られるため住人の負担も軽いのが特徴です。
例えば、築30年以上の30坪前後の家。
家中に内窓をつける場合の見積額が200万円としたら、補助額は100万円。
何しろ補助率1/2の補助上限200万円(工事費400万円)、家中の窓リフォームも不可能ではありません。
興味があればお早めに
日本の住宅ストックは70%が1980年以前の建物で、90%が低断熱か無断熱です。窓改修をきっかけに床、天井、外壁、住宅の外皮のトータル、耐震性能や水回りまでを計画すれば、省エネで住み心地がよく健康的に、終の住処にふさわしい住宅性能に、我が家は一気に変身します。
補助金の役割は案外、そんな気づきにあるのかも知れません。
この予算規模は住宅業界でも話題騒然。
業界の人が自ら、または親の家に利用すると、よく耳にします。
愛着のある家で住み替えるほどじゃないけど、足元の冷えと窓の結露はなんとかしたい・・・そんな風に思ったら。
補助金の常で、予算上限に達したら打ち止めです。
気になったらすぐに、各種サイトでご確認ください。